メディカルエッセー 『航跡』・8
中国の小児外科医(2)
木村 健
1
1アイオワ大学医学部外科
pp.502-503
発行日 1997年4月20日
Published Date 1997/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902702
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第1回中国国際小児外科学会の案内は,Dr.韓のリクエストによって個人的に交流のあった人を選んで発送することになった.通常,小児外科の国際学会の案内は,米,英,欧,太平洋小児外科学会のメンバー宛に発送しておけば,殆んど世界中の小児外科医をカバーすることができる.これらの学会のすべてのメンバーになっていると,同じ案内状を3つも4つも重複して受取ることになる.そうした一網打尽の方式を避けて,Dr.韓の個人的な友人に限った理由は今もってよくわからないが,全く出合ったこともない人を招くのに一抹の不安があったせいかも知れない.西側8か国の35人の方々から出席するとの返信があり,これを天津に連絡すると,ことのほか喜んでもらえた.当時の中国の国内事情では,国際学会を開くと言っておきながら,外国からの参加者が少なければ当事者の面目にかかわることであるし,何よりもドルで支払ってもらう参加費がなければ会の運営が成り立たなかったのである.期日が迫り,学会もあと2日で開会するというところまで来た.何しろ国際学会というものを経験したことのない人達ばかりで,初めて開催されるというのだから,一部たりとはいえ会の開催を請負った人間としては,万全を期してそつのないようにしたいではないか.それゆえに,国外からの参加者が到着する2日前に天津に赴いたのであった.
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