臨床外科交見室
研修医の「ため息」
池田 俊行
1
1広島市民病院外科
pp.500
発行日 1997年4月20日
Published Date 1997/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902700
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最近,手術件数が激減している.といってもこれは研修医の話である.
私が研修医として広島市民病院に勤務した1972年頃は胃十二指腸潰瘍,胆石,鼠径ヘルニア,虫垂炎などの良性疾患が悪性疾患より多く,これら良性疾患の多くは研修医の「モノ」だった.良性疾患の手術で,メスやハサミなどの手術器具の扱い方やテクニックなどを学んだ.そして2年間の研修の終わる頃には,指導医の下に胃癌,乳癌,大腸癌などの手術もそれなりにできるようになっていた.しかし,年々悪性疾患の手術件数が増加していったのとは逆に良性疾患の手術件数は減少していった.とくに1982年に胃十二指腸潰瘍に対してH2ブロッカーが登場して以来,胃十二指腸潰瘍の手術件数は大幅に減少し,外科医の出番は穿孔,幽門狭窄,大出血などの三大合併症の場合だけであり,これら緊急を要する手術に研修医の出番はない.
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