私の工夫—手術・処置・手順・29
腹腔鏡下総胆管砕石術におけるバルーンカテーテルによる結石除去
岡本 亮爾
1
,
坂田 晃一朗
1
,
福山 訓生
1
Ryoji OKAMOTO
1
1社会保険小倉記念病院外科
pp.353
発行日 1997年3月20日
Published Date 1997/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902672
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腹腔鏡下胆嚢摘出術の技術,手術機器の進歩に伴い,今日では一部の総胆管結石症症例も腹腔鏡下手術の適応とされるようになった.しかしながら,開腹手術であれば総胆管内の結石の除去はいくつかの方法を組み合わせ,比較的容易に行いうるが,腹腔鏡下では結石の摘出手段は限られている.通常,胆道内視鏡下にバスケット型把持鉗子を用いるが,実際にはかなり操作性が悪く,困難な手技である.われわれは胆道用フォガティカテーテルを用いて良好な結果を得ているので報告する.
通常の胆嚢摘出術と同様にまず胆嚢管を露出し,造影用のカテーテルを挿入する.総胆管の処理が終了するまで胆嚢の切除は行わない.総胆管の前面を剥離し,マイクロ剪刀を用いて約1cmの縦切開を置く.胆道ファイバーは5.4mm径のCYF−3を用いているが,硬性腹腔鏡用CCDを装着可能で,きわめて有用である.右季肋部のサージポートより6ないし7Fの胆道用フォガティカテーテルを総胆管切開部より挿入し,数センチ乳頭方向に前進させる.フォガティカテーテルはそのままに,引き続き胆道ファイバーを挿入し結石を確認する.内視鏡観察下にカテーテルを結石を越えるまで進め,バルーンを拡張し内視鏡とともに徐々に引き抜き,結石を総胆管切開部まで移動させる(図1).胆道ファイバーを抜去し,結石を腹腔鏡で観察しながら把持鉗子にて摘出する.
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