特集 術前ワークアップマニュアル—入院から手術当日までの患者管理
Ⅲ.注意すべき状態の術前患者管理
抗凝血薬服用患者
小須賀 健一
1
,
青柳 成明
1
,
押領司 篤茂
1
,
西 義勝
1
,
木下 寿文
1
,
今山 裕康
1
,
中山 和道
1
1久留米大学医学部第2外科
pp.409-410
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902538
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近年,開心術の目ざましい進歩により,心臓手術後の患者の長期生存が得られるようになり,大動脈—冠動脈バイパス術後や,人工弁置換術後,先天性心疾患姑息手術後等には,抗凝血薬であるワーファリン(warfarin potassium)を服用しながら,社会復帰する症例が稀ではなくなり,一般外科医や歯科医が心疾患以外の疾病のため一般外科手術や抜歯等を必要とする機会が増加している.
心臓手術後の一般外科治療の際に問題となるのは,心機能をはじめ,抗凝血療法に起因する後出血,人工弁置換術後では,血栓塞栓症,人工弁の感染など人工弁固有の合併症の発生や,A-Cバイパス,先天性心疾患における血管吻合術後の患者では,それらの吻合血管の閉塞は致命的な合併症となり,周術期における抗凝血薬の管理はきわめて重要となる.
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