今月の主題 血流障害と血栓・塞栓症
治療総論
抗凝血薬と抗血小板薬の使い分け
本宮 武司
1
1東京都立広尾病院・循環器科
pp.2048-2049
発行日 1986年12月10日
Published Date 1986/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220636
- 有料閲覧
- 文献概要
血栓の発生機序
血栓の形成には,古くVirchowが述べたごとく,血管壁の異常,血流の変化,血液性状の変化の3因子が重要であることは良く知られている.このうち血栓形成の開始には,動脈血栓,静脈血栓ともに血管内皮細胞の傷害,脱落が最も重要と考えられている.
特に動脈血栓では傷害動脈壁の内皮下組織に,流血中の血小板が粘着し,活性化された血小板は血小板同志の凝集,血小板顆粒内容物の放出,強力な生物活性をもつプロスタグランジンの産生分泌を介して血栓の根を作り,フィブリンが血小板を網のごとく包囲して血栓が完成する.動脈血栓は血小板が主体であるため白色血栓となる,動脈の速い血流は乱流を作りやすく,血小板が血管壁粗面に粘着しやすい条件となるが,逆に凝固系は活性化されても,すぐ局所から運び去られる可能性が強い.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.