特集 術前ワークアップマニュアル—入院から手術当日までの患者管理
Ⅰ.術式別:術前患者管理の実際
9.膵臓手術
膵頭部切除術
内田 豊彦
1
,
高田 忠敬
1
,
天野 穂高
1
,
吉田 雅博
1
,
安田 秀喜
1
1帝京大学医学部第1外科
pp.190-193
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902474
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膵頭部病変に対しては,膵頭部・十二指腸切除に加え,広範囲胃切除術を併施する膵頭十二指腸切除術や全胃を温存する幽門輪温存膵頭十二指腸切除術が行われてきた.1980年代以降,十二指腸を温存する十二指腸温存膵頭切除術や,さらには腹側膵原基由来の腹側膵のみを切除する腹側膵切除術など病変の切除とともに周辺臓器の可及的な温存をめざす術式が次々と報告されている.ここでは,主に十二指腸温存膵頭切除術について述べる.これらは当初,慢性膵炎などの良性疾患に対して行われていたものであるが,画像診断の進歩に伴い,膵の小病変が術前に診断可能となり,low-grade malignancyなどにも適応されるようになってきた1).しかし,縫合不全など重篤な術後合併症を惹起する可能性もあり,術前の全身ならびに局所の診断,管理はこれらを回避するうえでもきわめて重要である.
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