特集 術前ワークアップマニュアル—入院から手術当日までの患者管理
Ⅰ.術式別:術前患者管理の実際
9.膵臓手術
膵体尾部切除術
網倉 克己
1
,
小針 雅男
1
,
松野 正紀
1
1東北大学医学部第1外科
pp.194-198
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902475
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膵体尾部病変に対する術前検査,手術適応を中心に膵体尾部切除術の術前患者管理について述べた.膵体尾部癌の多くは診断時すでにリンパ節転移や後腹膜浸潤,脈管侵襲を伴う進行した症例であり予後不良であるが,Stage Iでは長期予後の得られる可能性もあり早期診断に努めることで予後の向上が期待される.一方,比較的予後良好といわれる粘液産生膵腫瘍でも上皮の異型度が強く,浸潤性に増殖する症例は予後不良であり,嚢胞性疾患では嚢胞内隆起性病変の有無などの質的診断が必要である.膵体尾部病変に対するリンパ節の拡大郭清を含めた術式,切除範囲の決定には術前検査によって鑑別診断および進展度診断が十分になされていることが重要と思われる.
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