Japanese
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外科の焦点
膵頭部十二指腸切除術の術後管理
Postoperative care of panceraticoduodenectomy
今永 一
1
Hajime IMANAGA
1
1名古屋大学医学部今永外科教室
1Imanaga's Clinic, Department of Surgery, Nagoya University School of Medicine
pp.1303-1308
発行日 1964年10月20日
Published Date 1964/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203437
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約30年前,膨大部癌にたいし膵頭部十二指腸切除がはじめて成功して以来,今日までに数多くの変法が考案,発表され,これが外科技術の進歩,麻酔学の発達,抗生物質の発見等とともに次第に手術成績も向上して来たのであるが,いまだ必らずしも満足すべき状態ではない.本手術が,腹部外科のうちで最も手術侵襲の大きなものの一つであることは周知のごとくであるが,その消化管再建にあたつても膵空腸吻合,胆管空腸吻合(胆嚢剔除術後),胃空腸吻合を行なわなければならず,このいずれの部の縫合不全も致命的となり得るものである.ことに膵空腸吻合は重要で,現在でも,なおこの縫合不全による腹膜炎が手術死の多くの原因となつている.一方,われわれ外科医が膵頭部癌や膨大部領域癌にたいして本手術を施行する時期は,すでに黄疸はかなり高度で,しかも長期間継続している状態であるのが大部分の現況で,本手術成績を良好ならしめるものは,まず早期発見,早期手術であることはいうまでもない.しかしながら,合理的な手術術式の選択,および適切な術後の管理もまた,きわめて重要な問題である.したがつて,私は本手術の術後管理を論ずるに先立ち,私の行なつている手術術式について説明し,その術後管理についていささか所信を述べたいと考える.
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