カラーグラフ 内視鏡下外科手術の最前線・18
肝臓
腹腔鏡下肝動脈カテーテル留置法の試み—動物モデルを用いた実験的検討
安籐 健二郎
1
,
村松 高
2
Kenjiro ANDO
1
,
Akio Wakabayashi
3
1東北大学医学部第2外科
2日本大学医学部第2外科
3Akio Wakabayashi Research Foundation
pp.675-681
発行日 1996年6月20日
Published Date 1996/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902307
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はじめに
肝動脈にカテーテルを留置し,原発性肝細胞癌に対する動注塞栓療法や転移性肝腫瘍に対する動注化学療法を行う方法は,わが国でよく用いられている.従来,肝動脈カテーテル留置は外科医が開腹術により施行してきたが,近年,血管造影のテクニックを用いて経皮的に行う方法が開発され,現在では主としてinterventional radiologistが行うこの方法が主流となりつつある.
われわれは,minimally invasive surgeryの観点より,腹腔鏡下に肝動脈カテーテル留置を行う方法(腹腔鏡下肝動脈カテーテル留置法:laparo-scopic catheterization for hepatic artery infu-sion〈LCHAI〉)を考案した.LCHAIの主な利点は,開腹法のように大きな皮膚切開を要さずにカテーテルの留置ができること,経皮法と比較して留置するカテーテルの長さがはるかに短くてすみ,カテーテルに関する合併症の頻度の減少が予想されることである.また,腹腔鏡下の生検や腫瘍の切除など,より発展的な方法も選択できる.今後,臨床化されれば,肝腫瘍治療に新たな局面を与えることが期待される.
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