特集 肛門疾患診療のポイント—エキスパート17人のノウハウ
痔瘻手術—括約筋温存術の実際
松田 保秀
1
Yasuhide MATSUDA
1
1松田病院
pp.602-605
発行日 1996年5月20日
Published Date 1996/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902293
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痔瘻に対する括約筋温存手術は,従来からのlay open法に比べて術後の変形,括約機能の低下がきわめて少ない.現在では主に低位筋間痔瘻と坐骨直腸窩痔瘻がその対象である.手術原理は,①全瘻管のくりぬき,②原発口部の縫合閉鎖,③同部の肛門上皮被覆,④くりぬき腔のドレナージである.これらの処置は局所の細かい解剖に精通し,きわめて丁寧な手術操作をすることが必要である.したがって,適応や術式を誤ると再発につながり,結局はlay openとなり患者の苦痛を倍増することになる.低位筋間痔瘻では内括約筋を障壁として,外口と原発口と両面から瘻管をくりぬく.とくに内括約筋の縫合閉鎖は様々な方法を臨機応変に駆使する.坐骨直腸窩痔瘻では,瘻管のくりぬきが広範囲で,原発口側の切除と縫合閉鎖が高難度である.術後は下痢,便秘に注意し,指診は特別なとき以外は行わない.
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