Japanese
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特集 肛門疾患診断・治療のノウハウ
痔瘻の治療—括約筋温存術を中心に
Treatment for anal fistula
瀧上 隆夫
1
,
嶋村 廣視
1
,
竹馬 彰
1
,
根津 真司
1
,
仲本 雅子
1
,
竹馬 浩
1
Takao TAKIUE
1
1チクバ外科・胃腸科・肛門科病院
キーワード:
括約筋温存術式
,
フルネル症候群
,
くり抜き法
Keyword:
括約筋温存術式
,
フルネル症候群
,
くり抜き法
pp.991-1000
発行日 1998年8月20日
Published Date 1998/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903249
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日常診療で比較的よく遭遇する肛門周囲膿瘍,痔瘻は歯状線上にある肛門小窩より細菌が侵入し,肛門腺に小膿瘍を形成し,そこから周囲のいろいろなスペースに炎症が波及することによって形成される.膿瘍期は疼痛が激しく,放置すれば広範囲蜂窩織炎,特に糖尿病などの基礎疾患を有する場合は嫌気性菌感染症(Fournier's syndrome)も併発しかねないので,診断がつき次第切開排膿を心がけるべきである.膿瘍期に一期的に根治手術を行うべきかどうかはその時の状況によるが,一般には膿瘍期がおさまり,瘻管の完成を待って二期的に根治手術に踏み切るのがよい.
痔瘻手術の原則は肛門小窩(原発口)とそれに続く肛門腺(原発巣)を完全に切除することにあるが,その際の括約筋の処置の仕方,二次口の処置の仕方に関して諸家によりいろいろな工夫がなされている.肛門後方の低位筋間痔瘻は開放術式(lay open)で問題ないが,側方,前方の低位筋間痔瘻はできる限り括約筋温存術式で行うべきである.
高位筋間痔痩,坐骨直腸窩痔痩も初回手術例では可及的に括約筋を温存する術式が勧められる.本稿では当院で行っている縫合のしやすい強彎Vicryl®2-0を用いた括約筋温存術式について述べる.
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