シリーズ 早期癌を見直す・2 早期大腸癌・1
早期大腸癌の病理—表面型大腸癌を中心に
池上 雅博
1
,
山田 哲也
1
,
劉 鉄成
1
,
野尻 卓也
1
Masahiro IKEGAMI
1
1東京慈恵会医科大学病理学講座第1
pp.1499-1507
発行日 1995年11月20日
Published Date 1995/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902146
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はじめに
1977年,狩谷らの初めての報告1),1980年代後半の工藤らを始めとする多数例の報告2)を経て,多数の表面型大腸腫瘍が発見,治療されるようになってきた.近年ではその解析もすすみ,表面型癌の中には,きわめて小さい病変でsmに浸潤する例が存在すること,従来のポリープ型癌に替わり表面型癌が進行癌の初期病変として重要な病変であることも判明してきている3,4).これら表面型癌の発見は,大腸癌の診断,治療,発育進展に関する既成の概念を根本から変える,臨床的,病理学的に重要な出来事であると考えられ,とくに診断,治療にあたっては従来のポリープ型癌との相違を明確に認識してあたる必要がある.本稿では表面型大腸癌を中心に,大腸上皮性腫瘍の組織診断上の問題点,大腸癌の発育進展,病理学的立場からみた表面型癌のsm浸潤度診断,治療上の注意点などについて,筆者らの考え方を交えつつ述べる.
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