Japanese
English
今月の主題 表面型大腸癌の発育と経過
序説
表面型大腸癌の発育と経過
Introduction
武藤 徹一郎
1
Tetsuiciro Muto
1
1東京大学医学部第1外科
キーワード:
表面型大腸癌
,
表面型大腸腫瘍
Keyword:
表面型大腸癌
,
表面型大腸腫瘍
pp.139-140
発行日 1995年2月25日
Published Date 1995/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105307
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- Abstract 文献概要
大腸の表面型腫瘍の報告は1977年,狩谷らの報告に始まる.以後,flat adenoma(武藤ら,1984年),更に陥凹型腫瘍(工藤ら,1989年)の報告が続いて,大腸における表面型病変の存在がにわかにクローズアップされることになった.表面型病変には腺腫と癌とが含まれており,両者の鑑別の基準が必ずしも一定してないので,両者を一括して表面型腫瘍と呼んでおくのが便利である.また,形態によって表面隆起型(Ⅱa型),表面平坦型(Ⅱb型),表面陥凹型(Ⅱc型)に分けられるが,陥凹型に特に注目した報告が多いのは,従来はその存在すら疑問視されていたことと無関係ではないばかりでなく,それなりの意味があり,本特集の中にその理由が盛り込まれている.
過去10年以上にわたり,隆起型腫瘍の自然史に焦点が当てられて以来,その発育経過のかなりの部分が解明されたが,まだその全貌が明らかになったとは言い難い.特に無茎性あるいは広基性の隆起が壊れて潰瘍化する過程が十分に捉えられていないのは,retrospective studyに頼らねばならない研究の限界を示しているのかもしれない.当然のことながら表面型腫瘍の自然史にも興味が持たれたのであるが,症例の数が少ないうちは,とても発育経過の研究にまでは手がまわらなかったのが実情であった.本特集が組めるようになったのは,それだけ十分な症例が集積されてきた証拠であると同時に,読者への注意喚起の意図が含まれている.
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