特集 術後1週間の患者管理
Ⅳ.術後合併症の予防と対策
消化管出血
小泉 俊三
1
,
藤川 貴久
2
1佐賀医科大学総合診療部
2天理よろづ相談所病院腹部一般外科
pp.382-383
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902102
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全身的ストレスと消化管出血の関連で歴史的に有名なのは,重度の火傷に続発するCurling ulcer注1)と脳出血・脳外傷などの脳の器質的障害に続発するCushing ulcer注2)である.約20年前の日本では,脳外科手術後の患者が消化性潰瘍による出血・穿孔を起こし,消化器外科医が緊急手術に活躍するということはそれほど珍しいことではなかった.
当時すでに様々なストレスによって惹起される急性胃粘膜病変(acute gastric mucosal lesion:AGML)の概念はほぼ定着しつつあったが,術後に胃管からマーロックスなどの制酸剤を定時的に注入したり,臨床使用が可能になったH2プロッカーを集中治療室収容の術後患者に予防的に使い出したのは70年代の後半から80年代の始めにかけてである.それ以後,手術後の消化性潰瘍による消化管出血の頻度は大幅に低下した.
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