特集 術後1週間の患者管理
Ⅱ.合併症を有する患者管理
高血圧
鈴木 和彦
1
,
黒澤 博身
1
1東京慈恵会医科大学心臓外科
pp.308-309
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902071
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術前のリスク評価
高血圧症は日常診療において多い疾患であり,降圧剤を内服している患者が手術を受けることにしばしば遭遇する.高齢化社会を迎え,さらにその頻度は増加するものと考えられる.
高血圧症は本態性高血圧症と二次性高血圧症に分類されるが,大多数は本態性である.本態性高血圧の原因は不明であるが,全身の細動脈平滑筋の肥厚をきたし,各臓器の血流障害が併発する.また,太い動脈の脂肪沈着・動脈硬化を促し,脳血管障害・冠動脈硬化症・腎障害が引き起こされる.これに対し二次性高血圧は,本態性より比較的若年齢で発症することが多いことから,若年者の高血圧症例ではこの点にも注意が必要である.二次性のうちホルモン異常に起因する高血圧は甲状腺機能亢進症・原発性アルドステロン症・Cush-ing症候群・褐色細胞腫などがある.また,血管の異常によるものとして腎血管性高血圧が挙げられる.当然,術前の病歴の確認が重要である.
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