My Operation—私のノウ・ハウ
胆嚢摘出術
田島 芳雄
1
1獨協医科大学第2外科
pp.1277-1281
発行日 1985年9月20日
Published Date 1985/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209133
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適応と手術 胆嚢摘出術は日常しばしば行われる術式であり,その適応としては,胆嚢胆石症,急性胆嚢炎,胆嚢良性腫瘍,胆嚢癌(肝床の楔状切除とリンパ節郭清が必要となる),などがあげられる.このうち最も多いのは胆嚢胆石症で,疝痛発作が頻回に起こる場合,胆道造影で胆嚢が造影されない場合──胆石の胆嚢頸部あるいは胆嚢管嵌頓,胆石の胆嚢内充満,萎縮胆嚢などが原因となる──,などが手術の適応となる.急性胆嚢炎については,発症から48時間程度までは抗生物質の投与などの保存的治療を行い,この間に症状が悪化したり,あるいは不変の場合には,胆嚢摘出術を施行する.一方,保存的治療によつて症状が軽快した場合には,発症後4〜6週間経過して炎症が十分に消退した時期に手術を行つている.無症状胆石silent stoneについては,症状が出現するかあるいは無症状で経過するかは予測し難いことから,原則的には定期的に胆嚢造影や超音波検査を行つて経過を観察することが妥当と考えられ,この際に経口的胆石溶解剤の適応があれば投与する.しかし,経過中に疝痛発作などの症状が起こればもちろんであるが,胆道造影で胆嚢陰影の変形,縮小,陰性化などが認められれば,胆嚢摘出術をすすめている.なお,上部消化管手術例にsilent stoneが合併している場合には,原病に根治的手術が行われ,かつriskがよい場合には,同時に胆嚢摘出術を行つている.
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