カラーグラフ シリーズ・新しい内視鏡治療・17
胸腔鏡下単純肺葉切除術
山口 明
1
,
篠永 真弓
1
1国立療養所西新潟病院外科
pp.5-12
発行日 1994年1月20日
Published Date 1994/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901452
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
1992年4月にendoscopic stapler(Endo-GIA)が本邦でも発売され,胸腔鏡下治療は,Single-viewing, pre-Endo-GIA thoracoscopyの時代からVideo-post-Endo-GIA thoracoscopyの時代へと転換した.1992年から1993年にわたる1年間はあらゆる胸腔鏡下外科手術が試みられた時期で,肺に関するmajor surgeryでは肺葉切除,さらに肺全摘除まで行われ,現時点で可能と思われる術式はほぼ出尽くした感がある.しかし,肺全摘除を要するような例では肺門リンパ節の処置も面倒なことが多く,太い肺動脈の剥離操作を要するので出血の危険性も高いため,胸腔鏡下手術を積極的に行うべきか,その適応には慎重さを要する.
肺疾患の主対象である肺癌に対し,欧米では単純肺葉切除術が行われているが,本邦ではリンパ節郭清の追加が不可欠とされている.したがって,肺癌に対する手術は「肺葉切除術+縦隔リンパ節郭清術」が胸腔鏡下手術のおそらく実用的な最終的術式ではないかと思われる.われわれは,すでに肺癌に対し「胸腔鏡下肺葉切除術+胸腔鏡下縦隔リンパ節郭清術」を施行しているが,後者の胸腔鏡下縦隔リンパ節郭清術は議論すべき多くの問題を含んでいるので別の機会に述べることにし,今回は胸腔鏡下単純肺葉切除術について,手術手技を中心に経験を報告する.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.