カラーグラフ シリーズ・新しい内視鏡治療・7
救急疾患への対応(急性腹症など)
杉山 貢
1
,
片村 宏
1
,
石原 弘之
2
1横浜市立大学医学部救命救急センター
2新横浜病院外科
pp.281-284
発行日 1993年3月20日
Published Date 1993/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901117
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はじめに
従来より内科領域では腹腔鏡は診断手段として汎用されていたが,近年では周辺機器や治療器具の進歩により,単なる診断のみにとどまらず,その治療的側面が注目され,本邦でも腹腔鏡下胆嚢摘出術をはじめ様々な分野で内視鏡治療の役割は広がりつつある.
腹腔鏡下手術のメリットは手術侵襲が少なく1),診断に引き続き手術に持ち込める点にあり,特にpoor risk caseの多い救急領域では,従来のDiagnostic Peritoneal Lavage(DPL)の代わりに今後ますます威力を発揮するものと思われる.現在,腹腔鏡下手術の適応症には虫垂炎,消化管穿孔,急性胆嚢炎,腸閉塞,臓器破裂,子宮外妊娠,卵巣茎捻転が挙げられているが,今後さらに適応疾患は広がる可能性がある.ただし,開腹術と同様の術前評価が必要で,特に心肺機能が著しく低下した症例では気腹に伴い心肺機能が抑制される可能性があり,厳重な注意が必要である2).このような症例では吊り上げ法を奨励する意見もある3).本稿では,腹部救急疾患のうち急性腹症を呈する疾患における腹腔鏡的診断を含め,手術法について概説する.
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