特集 外科患者・薬物療法マニュアル
Ⅳ.術後愁訴・合併症に対する薬物療法
12.急性腎不全
岡田 雅美
1
,
荒川 正昭
1
1新潟大学医学部第2内科
pp.144-146
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900973
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外科領域における急性腎不全
1.術後腎不全の特殊性
外科領域の急性腎不全(acute renal failure:ARF)は,手術後発症するものが多く,その原因には,術中の血圧低下やショックから,抗生物質に代表される薬物まできわめて多彩である.近年,high risk症例に対する手術適応の拡大から,術後ARFは増加傾向にあるばかりでなく,多臓器不全(multiple organ failure:MOF)の1症候として出現することも多く,重篤な症例が多くみられる.
2.術後腎不全の予防
高齢者,悪性腫瘍患者,術前クレアチニン・クリアランス低下症例などでは,術前から十分な利尿を保っことが大原則である.薬物使用については,腎毒性の薬剤を極力避けるとともに,腎排泄性のものでは使用量の検討が必要である.こうした基本原則を厳守することで,術後ARFの一部は回避できることを強調したい.
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