カラーグラフ Practice of Endoscopy
胃・十二指腸内視鏡シリーズ・ⅩⅣ
胃瘻造設術
花上 仁
1
,
奥村 輝
1
,
菅野 公司
1
,
上野 文昭
2
,
田島 知郎
3
,
三富 利夫
3
1東海大学大磯病院外科
2東海大学大磯病院消化器内科
3東海大学医学部外科Ⅱ
pp.531-534
発行日 1991年5月20日
Published Date 1991/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900427
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はじめに
経口摂取が不十分な患者に対する経管栄養(tubefeeding,Sondenfüttering)の歴史は古く,Pareiraら1)によると17世紀にさかのぼる.なかでも胃瘻からの経管栄養は最も好んで用いられた方法の一つであるが,経中心静脈的高カロリー輸液(IVH)が普及した結果,その適応は極めて限られたものとなった.しかし,近年における高齢者やhigh riskを有する患者の急激な増加は従来胃瘻造設術の代表的な適応症であった上部消化管の通過障害に加え,新たな適応ともいえる嚥下障害を伴う神経疾患や老人性痴呆などによる経口摂取不能例の急増をもたらした.その上,経管栄養食もelementary diet(ED)の開発など著しい進歩がみられたことや,IVHに比較すると管理が容易なため在宅治療が可能となり,医療費削減の面からも今日の高齢化社会に適した栄養管理法であることなどから,胃瘻による経管栄養は再び注目を集めるに至っている.
ところが,高齢でhigh riskの症例においては,小手術である従来の開腹下胃瘻造設術でさえも合併症発生の頻度は予想外に高い2)のが現状である.そこで,Gaudererら3)およびPonskyら4)は開腹術によらない内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gas-trostomy:PEG)を考案した.
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