特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から
転移性肺癌
外科から
神頭 徹
1
,
人見 滋樹
1
1京都大学胸部疾患研究所胸部外科
pp.1627-1631
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900288
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転移性肺癌における保存的療法,外科的療法の位置づけ(図1)
今日,悪性腫瘍一般に対する治療のstrategyは,最も強力な治療を初回治療時に集学的に行うことである.
固形癌における最も確実な局所療法は手術療法であり,疾病のstageによって治癒を期待でき,また比較的進行例に対しても種々の治療法と併用して行われている.たしかに,睾丸腫瘍や骨肉腫などに対する近年の化学療法の進歩には注目すべきものがあるが,固形癌一般の治療において,現時点ではなお,治癒的手術が施行できたか否かは,明らかに患者の予後に反映されてくるのである.したがって,固形癌に対し外科的療法以外の治療が適応となる場合というのは,一般に,外科的療法の適応限界を越えた進行例であることを意味し,それ自体すでに良好な予後を期待し難いことを示している.
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