特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から
逆流性食道炎
コメント
森 昌造
1
1東北大学医学部第2外科
pp.1343-1344
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900216
- 有料閲覧
- 文献概要
逆流性食道炎は,欧米においては頻度が高いので,臨床的,基礎的報告が多い.食道疾患についての成書をみても,Reflux Esophagitis, GastroesophagealReflux(GER),Hiatal Herniaに関する記述の占める割合が多く,海外での学会の食道に関する演題数の比率に関しても同様である.これに反し,わが国では,食道疾患といえば食道癌がまず頭に浮かぶように,食道癌に関する論文は非常に多いものの,逆流性食道炎に関するものは比較的少なく,一般的なレベルとしては欧米に数段遅れをとっているのが現状であろう.しかし,高齢化社会を迎え,また食生活の欧米化,肥満傾向などのためもあって,最近わが国でも本疾患が増加しつつあり,本症に対する関心も高まってきている.また,食道内圧検査,24時間食道内pH検査,内視鏡検査などの進歩と,優れた薬剤の開発により,最近,本症に関する診断と治療は急速に進歩しつつある.
今回は,逆流性食道炎の保存的治療の適応と限界について,内科側からは関口先生が,外科側からは遠藤先生が,それぞれの立場から考えを述べておられる.多数の経験をもつ両先生の論文を読んで感じることは,この問題に関しては内科と外科とでの際立った対立的な意見はみられないということである.経験の少ない筆者としては,勿論,本疾患の治療に対して独自の見解をもっているわけではないが,2,3感じたことを述べて責を果たしたい.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.