特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から
食道アカラシア
外科から
磯野 可一
1
,
碓井 貞仁
1
,
神津 照雄
1
1千葉大学医学部第2外科
pp.1323-1327
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900211
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食道アカラシアは「下部食道噴門部の弛緩不全による食物の通過障害や,食道の異常拡張などがみられる機能的疾患」1)で,食道全域にわたる神経・筋の機能異常,Auerbach神経叢の神経節細胞の変性あるいは消失がみられ,その成因,病態は複雑多岐にわたっている.発生頻度は10万人に1〜2人で,年齢層は若年者から高齢者におよび,男女比は女性に若干多い.
臨床症状は嚥下障害,胸骨後部痛,圧迫感,嘔吐,逆流などで,しばしば冷水の過飲や過食などにより症状が誘発される.嚥下障害の程度は日によって異なり,普通食が摂取できる一方で,水も通らないことも起こりうる2).悪心を伴わずに嘔吐することが多く,吐物は通常,遊離塩酸を含まない.食道癌と異なり,栄養状態は通過障害があるにもかかわらず一般に良好であるが,病悩期間の長い例では体重減少,低栄養状態に陥る例もある.
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