Japanese
English
臨床報告
広範な同時性肝転移を伴った早期胃癌の1例
A case report of early gastric cancer with multiple liver metastasis
菅沢 章
1
,
山根 祥晃
1
,
河野 菊弘
1
,
万木 英一
1
,
阿部 重郎
1
,
上田 雄麓
2
Akira SUGEZAWA
1
1島根県済生会江津総合病院外科
2上田医院
pp.123-127
発行日 1990年1月20日
Published Date 1990/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900022
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はじめに
胃癌の診断技術の進歩と検診の普及により胃切除症例に占める早期胃癌の割合は年々上昇し,最近ではその比率は30%前後であるとされている1,2).一般に早期胃癌の手術成績は良好であり満足できるものといえるが,早期胃癌といえども手術時の転移や術後再発が認められることも稀ではない.手術時のリンパ節転移は粘膜内癌では2.6%〜6.6%1,3),粘膜下層まで癌浸潤がある場合は18.8%〜23.9%1,2)と報告されている.一方,肝転移は全胃癌手術例に対して5.7〜14.5%1,4〜7)とされているが,早期胃癌の肝転移については本邦では自験例を含めて18例の報告が認められるのみで,きわめて稀である.
われわれは胃前庭部の隆起型早期胃癌で,手術時既に広範な肝転移を伴った症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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