書評
—本田五郎(編) 大目祐介,本田五郎(執筆)—坂の上のラパ肝・胆・膵[Web動画付]—腹腔鏡下手術が拓く肝胆膵外科のNEWスタンダード
山本 雅一
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1社会医療法人中山会宇都宮記念病院
pp.391
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407214492
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腹腔鏡下肝胆膵切除術はこの20年間に大きく進歩した.当初は肝胆膵外科分野で発展するのか危惧されたが,術後の患者負担の軽減,合併症が少ないことが多くの臨床研究で明らかにされ保険収載された.腹腔鏡による視野も良好で,外科医教育に有効であることも評価されている.さらには最近ロボット手術も導入され新たな時代を迎えつつある.
2010年に第4回肝臓内視鏡外科研究会を主催した.フランスからBrice Gayet教授をお招きし腹腔鏡下手術の可能性について多くを学び,その発展を確信した.鏡視下手術の良好な視野から繊細な手術が可能となり,出血量は大きく減少した.創部が小さいことから術後の回復が早く,在院日数も減少した.しかし,臓器を直接触れることができないこと,鏡視下における切除臓器の立体的把握の困難さ,鉗子操作の修得に時間がかかること,大量出血時の止血の困難さなどの問題点も指摘された.経験豊富な医師の下である一定期間のトレーニングが重要であると認識した.
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