FOCUS
炎症性腸疾患に対する薬剤治療の最新動向
酒匂 美奈子
1
Minako SAKO
1
1東京山手メディカルセンター炎症性腸疾患センター
pp.1016-1021
発行日 2023年8月20日
Published Date 2023/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407214220
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はじめに
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)とは,狭義では潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)とクローン病(Crohn's disease:CD)を指し,発生要因は不明であるが,患者自身の持つ遺伝的素因に食事の変化や衛生状態の変化,患者の腸内微生物環境の変化などが加わり発症するものと考えられている.患者数は増加の一途をたどっており,現在わが国の患者数はそれぞれおよそ22万人,7万人と推定されている1).非専門医が初診で遭遇したり,その後をフォローしたりする機会が増えていると考えられ,治療のステップアップのタイミング,高次医療機関への紹介のタイミングも重要となる.現在わが国でステロイド抵抗性のUCにいわゆるadvanced therapyとして使用できる薬剤は10を超え,CDに対しても複数の生物学的製剤から薬剤を選択でき,いずれの疾患においても各薬剤のポジショニングが盛んに議論されているところである.
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