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腹壁ヘルニアは原発性である臍ヘルニア,白線ヘルニア,腰ヘルニア,Spiegelヘルニアと,腹壁瘢痕ヘルニアに大別される.原発性と異なり,腹壁瘢痕ヘルニアの発生部位は腹壁切開位置に起因し,ヘルニア門サイズも多様である.
腹壁瘢痕ヘルニアに対する腹腔鏡腹膜外修復術は2003年にChowbeyら1)がTAPP(transabdominal preperitoneal repair),2013年にSchroederら2)がRives Stoppa(RS),2018年にBelyanskyら3)がeTEP(enhanced-view totally extraperitoneal repair)RS/TAR(transversus abdominis muscle release)を報告している.いずれも癒着剝離と天井縫合が必要とされ,軽度の癒着であれば大きな問題はないが,腸管の強固な癒着を伴う場合や非優位鉗子によるparaaxialでの天井縫合では技術的難易度が格段に高くなる.腹腔鏡での経腹腔TAPP, RS, TARはさらに技術的難易度が高く,特に腹膜損傷と腹腔内縫合が他の術式と比較して多くなることも相まって,普及しなかった.ヘルニア門横径が10 cmを超えるような大きな腹壁ヘルニアやloss of domainを伴うなど複雑症例では,標準術式のみで対応することは一般に困難で,症例に応じてprogressive pneumoperitoneum法,ボツリヌス毒素による化学的CS(component separation),物理的な前方CSまたは後方CS(TAR)が必要なことが多い.しかしながら,本邦では保険診療の対象外であることがほとんどである.
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