増刊号 術前画像の読み解きガイド—的確な術式選択と解剖把握のために
Ⅲ 小腸・大腸
良性疾患
虫垂腫瘍
武田 和
1
,
賀川 義規
2
,
藤井 誠
3
,
村田 幸平
4
Takashi TAKEDA
1
1箕面市立病院外科
2大阪急性期・総合医療センター外科
3大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻再生誘導医学協働研究所
4関西労災病院外科
キーワード:
虫垂粘液囊腫
,
腹膜偽粘液腫
,
低異型度虫垂粘液性腫瘍
Keyword:
虫垂粘液囊腫
,
腹膜偽粘液腫
,
低異型度虫垂粘液性腫瘍
pp.163-167
発行日 2022年10月22日
Published Date 2022/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213903
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
大腸癌取扱い規約第7版1)では,虫垂腫瘍は,腺腫,粘液囊胞腺腫(良性),腺癌,粘液囊胞腺癌(悪性),カルチノイド腫瘍に分類されていた.同規約第8版2)では,WHO分類との整合性を考慮して,低異型度虫垂粘液性腫瘍(low-grade appendiceal mucinous neoplasm:LAMN)が採用され,粘液囊胞腺腫(良性)と粘液囊胞腺癌(悪性)という記載はなくなった.粘液囊胞腺腫の大部分と粘液囊胞腺癌の一部は,LAMNに該当すると記載された.同規約第9版3)でも,粘液囊胞腺腫(良性)と粘液囊胞腺癌(悪性)という記載はない.現規約(第9版)では,虫垂腫瘍は,良性上皮性腫瘍,LAMN,腺癌,杯細胞型カルチノイド,カルチノイド腫瘍,非上皮性腫瘍,悪性リンパ腫,腫瘍性病変に分類される.現規約では,「虫垂粘液囊腫」は存在しないが,旧規約での習慣が残っているため,日常診療では耳にする.
最新のTNM分類第8版4)では,粘液癌のグレード分類が採用されている.粘液癌のグレード分類に関して,AJCC Cancer Staging Manual第8版5)では,G1(高分化かつ軽度細胞異型),G2(中分化かつ高度細胞異型),G3(低分化かつ印環細胞を伴う高度細胞異型)と記載されている.粘液癌G1はLAMNとほぼ同義とされている.
Copyright © 2022, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.