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私が初めてロボットでヘルニア修復術を行ったのは,2000年の7月であった.故 北島政樹教授が主任研究者として,慶大外科と九大2外が協力してダビンチシステムの輸入を目的とした臨床試験を行っており,ダビンチプロトタイプを使用して胆摘やヘルニア修復術を施行していた.当時,腹腔鏡下手術でも比較的簡単に行える術式に使用していたので,ロボット支援手術の有用性は正直あまり感じていなかった.ただ,その時から将来的には膵頭十二指腸切除の膵管粘膜吻合に,ダビンチシステムを使用したいと考えていた.
次にロボットでヘルニア修復術を行ったのは,2016年の9月であった.当時,上尾中央総合病院の徳永英吉院長はロボット手術センターを開設したいと考えており(2017年4月に開設),私自身も膵頭十二指腸切除をロボットで行うためのチームビルディングの必要性からロボット支援下ヘルニア修復術を自費診療として開始することにした.病院長と入院医事課と打ち合わせを重ね,2泊3日の入院費と手術費用を合わせて30万円の定額で提示することにした.これは医療者の人件費や施設使用料などを病院が負担し,ダビンチ鉗子類,ヘルニアメッシュなどの消耗品費と,薬剤費,食費などを合算した額である.院内の新規医療技術・医薬品等評価委員会で承認を受け,患者に予想される利益・不利益を説明し,患者リクルートを行った.開始時の3例は,実際にBostonまで手術見学で伺ったDr. Omar Yusef Kudsi(Good Samaritan Medical Center, Brockton, MA)をプロクターとしてお招きして施行した(図1).その後は順調に症例数を重ねて,現在は150例を超えるロボット支援下TAPP(transabdominal preperitoneal)ヘルニア修復術(R-TAPP)を行っている.
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