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はじめに
手術支援ロボットda Vinci Surgical System(Intuitive Surgical社;以下da Vinci)は,3Dモニター,多関節,モーションスケール,手振れ防止といった特徴を活かした精緻な手術操作を可能とし,世界のロボット支援下手術市場を席巻してきた.
本邦初のロボット支援下胃癌手術として,2002年にHashizumeらが胃癌に対するロボット支援下胃切除術2例の実施を報告した1).当科では,ロボットの能力を最大限に活用して腹腔鏡下手術の合併症を軽減し,真の低侵襲手術を実現するため,2009年に全国に先駆けて,個人輸入でda Vinci SHD Surgical Systemを導入し,自費診療下にロボット支援下手術を開始した.症例経験を重ね,ロボットの性能を最大限活用すべく,double bipolar法,ダヴィンチ軸理論,画面4分割理論を考案し,基本手技とセットアップの標準化を行った2).2009年11月のda Vinci Sの薬事承認,2012年4月の前立腺全摘術の保険承認によって,泌尿器科領域においてロボット支援下手術は急速に増加した.一方,消化器外科領域においては,Uyamaらによって,多施設共同前向き試験(先進医療B)が実施され,従来型腹腔鏡下胃癌手術のhistorical controlと比較してロボット支援下手術の優越性が示された3).この結果を受け,2018年4月に12領域に保険適用が拡大され,現在,ロボット支援下手術は急激に増加している.一方で,診療報酬において保険点数のロボット使用加算は認められず,ロボット支援下手術のコスト低下は急務の課題となっている.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年7月末まで)。
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