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岡山市立市民病院は,自治体病院として1936年4月に誕生し,2015年5月にJR岡山駅から一駅で新幹線へのアクセスも良好なJR北長瀬駅に直結した現所在地に新設・移転しました.総病床数は400床,診療科は26科の総合病院です.施設としては救急医療,医療者教育,大規模災害への対応,感染症対策に特に尽力してきました.救急体制は「断らない救急医療」をモットーに24時間365日すべての救急患者を受け入れて初期診療を行う「岡山ER」に力をいれています.救急科・総合内科を中心に各専門診療科と横断的に救急センターを構成し,救急車応需率97%以上を堅持できるような医療体制を敷いています.また,2018年の西日本大豪雨災害では被災地に災害時派遣医療チーム(DMAT)を派遣,昨今のコロナ肺炎においては岡山県内では最初に患者の受け入れ・対応を行い,地域の先導的かつ中核的な役割を担っています.
日本外科学会外科専門医制度修練施設,日本消化器外科学会認定専門医修練施設,日本癌治療学会がん治療認定医機構認定研修施設をはじめ,他科においてもさまざまな施設認定を修得しています.岡山大学病院と連携した研修プログラムも充実し,教育施設としての機能・役割も十分に有しています.当科の診療領域は,心臓血管以外の外科全般に携わっており,現在,スタッフ6人(うち日本内視鏡外科学会技術認定医2人在籍),後期研修医2人の計8人で日常診療を行っています.2019年(1〜12月)の手術症例数は736例で,主だったところでは,胃癌手術24例,大腸癌手術98例,肝胆膵手術(良性も含む)33例,胆囊摘出術187例,鼠径ヘルニア60例.充実した救急体制を背景として緊急手術は多く(年間180例程度),急性腹症の診断能力・初期対応・術後管理を十分に研修することが可能です.定期手術のみならず,緊急手術においても80%以上の症例は鏡視下手術で対応していることも当科の特色です.加えて,本年7月には腹部ヘルニア手術のハイボリュームセンター化を目指したヘルニア外来を開設,院内の外科系診療科が連携した「低侵襲手術センター」の立ち上げなど,地域の方々により良い医療を提供できるよう常に新しいことに取り組んでいます.
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