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岡山市立市民病院は,昭和11年に天瀬診療所を発展的に解消し,一般病床45床の市民病院として開設されました.昭和41年に市立産院を吸収し産婦人科が産声をあげたころには,一般病床254床,結核病床24床となっていました.以後増改築を繰り返し,現在では21診療科,病床数396床(結核病床12床,感染症病床6床を含む),常勤医師56名,研修医10名の所帯となっています.昭和31年建築の南館を筆頭に建物の老朽化が激しく,院内では早急な建て替えが望まれていますが,全国の公立病院と同様に経営状態は厳しく,市議会では病院の存続自体が議論される始末,何とか存続は決定したようですが病院の全面移転・新築には難問が山積の状態です.そんななか,われわれは市民に信頼され期待される病院であり続けるために,「心の通い合う医療」「質の高い安全な医療」の提供を目指して日夜努力しています.
産婦人科は現在常勤医師が2名,病床は30床ですが,入院患者は10人前後のため,病棟は混合病棟と化しています.分娩数は年間120例ほどですが,市中の開業医に比して分娩費用が割安なため,劣悪なアメニティを我慢してでも安価にすませたい患者と,万一の場合に備え総合病院としての高度な医療を期待して来る患者の二極に分かれているようです.そのため,分娩費用が援助される助産制度の利用者が多い(約1/4が利用),生活の自立していない10歳代の分娩が多い(全国平均1.7%,当院8.3%)という特徴があります.一方でこのような患者は初診時期が遅い,検診回数が少ない,病識が乏しいことが多く,そのため異常の発見の遅れ,指導内容が守れず症状が悪化するなど異常出産となる比率が高く,予断を許しません.また,出産後も育児放棄・虐待などの監視が必要なケースも多く地域の保健婦・ケースワーカーと連携し,対応しています.
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