増刊号 早わかり縫合・吻合のすべて
4章 術式別の縫合・吻合法
小腸
ストーマ脱出の修復時の縫合
野澤 慶次郎
1
,
大野 航平
1
,
岡田 有加
1
,
八木 貴博
1
,
塚本 充雄
1
,
福島 慶久
1
,
島田 竜
1
,
小澤 毅士
1
,
端山 軍
1
,
松田 圭二
1
,
橋口 陽二郎
1
Keiziro NOZAWA
1
1帝京大学医学部附属病院外科
キーワード:
ストーマ脱出
,
ストーマ脱出の治療
,
ストーマ合併症
Keyword:
ストーマ脱出
,
ストーマ脱出の治療
,
ストーマ合併症
pp.188-192
発行日 2020年10月22日
Published Date 2020/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213141
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人工肛門造設後の合併症は,以前より数多くの報告がされている1,2).特にループ式結腸ストーマの合併症は多い2).人工肛門造設後の合併症は早期と晩期に分けられ,早期合併症には,皮膚障害,循環障害,壊死,陥没,創感染などがあり,晩期の合併症としては,傍ヘルニア,ストーマの陥凹,狭窄,脱出などがある3).
ストーマ脱出は後期の合併症のうちの頻度が高い合併症の一つである.ストーマ脱出の部位別出現率はループ式横行結腸ストーマでは7〜25%,単孔式結腸ストーマでは12%,単孔式回腸ストーマでは0〜11%との報告があるが,発生頻度は報告者により様々である4).一般的には結腸ストーマより回腸ストーマのほうが合併症の発生率は高く,さらに小児例や緊急手術例では高率となるとの報告が多い.結腸ストーマの造設部位が横行結腸の右側である場合には脱出の発生率は40%であるのに対して,左側結腸に造設した場合の発生率は13%と低率である.また,肛門側腸管が脱出することが多いとされる.腸閉塞に対して造設した結腸ストーマでは発生率は38%であったのに対して,非閉塞例での造設例では発生率は7%と有意に低率であったことも報告されている5).
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