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広島赤十字・原爆病院は広島市の中心部に位置し,名前にもあるとおり爆心地(原爆ドームのあたり)から1.2 kmの距離にあります.当初日本赤十字社・広島支部病院として1939(昭和14)年5月1日に開院しました.当時,広島は陸軍第5師団の本拠地であり,その社会事情からでしょうか,開院まもなくの5月8日には広島陸軍病院赤十字病院と改称され,入院は陸軍の軍人患者だけを収容していたようです.その後,1943年には広島赤十字病院と改称しています.1945年8月6日広島原爆の投下により,爆心地から2 km以内の木造家屋は倒壊・全焼しましたが,鉄筋コンクリート建てであった当院本館は全壊を免れたようです.病院職員も554名中51名が被爆死,250名が重軽傷を負ったとの記録がありますが,それでも壊滅的被害を受けた建物で,わずかな医療資源を用いて懸命に治療に当たったとの記録があります.1956年には敷地内に広島原爆病院が併設され被爆者の治療と健康管理に力を入れてきました.その後,原子力放射性障害対策研究所も増設され,原爆医療の最前線としての研究も続けられました.そして,原爆病院開院から30年後の1985年には取り壊され,1988年に現在の広島赤十字・原爆病院として再出発しました.
当院の外科は一貫して九州大学第二外科から医師が派遣されてきました.現在は第一外科(消化管一般外科4名),第二外科(乳腺,呼吸器,血管外科4名),第三外科(肝胆膵外科3名)の計11名の外科医で年間約1,000例程度の手術ならびに入院・外来診療および化学療法をこなしています.また当院は臨床研修病院ですので毎月1〜2名の初期研修医が外科をローテートしています.2015年に新築した東棟にある手術室は10室あり,すべての部屋で腹腔鏡手術用の天つりモニターと配管,記録用のカメラシステムが設置されており,手術環境はかなり整備されました.外科の手術日は月水金で,午前8時から術前カンファレンスを行っています.また各疾患グループはそれぞれ内科と合同カンファレンスをしています.病棟は新館(東棟)の5階で,週1回部長による総回診をしています.
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