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新専門医制度の発足
2014年5月に第三者機関である日本専門医機構が発足し,2017年4月から新しい外科専門医制度による修練が開始となった.新専門医制度の基本設計は,基本領域として19の専門医領域があり,その上にさらに専門性が高いSubspecialty領域として23の専門医領域が位置する構図である.基本領域とSubspecialty領域は結び付けられており,基本領域に関連しないSubspecialty領域専門医は取得できない.この新専門医制度の狙いは専門医の質を担保することであり,旧専門医制度においては専門医資格は102にも及び,それぞれ独自の認定基準を持ち合わせ一定の基準がない状況である.そこで,統一した基準でスリムな専門医制度を作成し,医師の質の担保と,患者にわかりやすい指標を作ろうというのである.また,現行の専門医資格の問題として,医師の報酬や職位に基本的に反映されないことも忘れてはならない.これは近年やっと手が付けられはじめた無給医問題や働き方改革と同じ類の重大な問題で,将来的には新専門医制度で質が担保された専門医資格の取得が,診療報酬加算等を受け取ることにより,患者はもちろんのこと,医師側にも自己修練以外のメリットを及ぼすことを大いに期待する.
外科医は通常,基本領域として外科専門医を取得したうえで,さらに自分のSubspecialty領域における専門医の取得をめざすこととなる.外科直結のSubspecialty領域として新専門医制度に認められているのは,消化器外科,心臓血管外科,呼吸器外科,小児外科,乳腺,内分泌外科の6領域である.そのほか,消化器病,消化器内視鏡,がん薬物療法専門医なども関連付けられる.一方,日本外科学会のホームページによると,外科系専門医制度のグランドデザインは6領域のSubspecialtyの上にさらに3階部分の高次専門医を描いており,その取得にはSubspecialty領域の専門医取得が必須とされると述べられている(図1).旧専門医制度では,日本食道学会食道外科専門医,日本肝胆膵外科学会高度技能専門医,日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医,日本内視鏡外科学会技術認定医などがそれに対応するであろうが,今後これらの資格がどのように新専門医制度と互換性を帯びるのか,もしくは新たな領域が作成されるのかなどは,依然未確定である.
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