増刊号 あたらしい外科局所解剖全図—ランドマークとその出し方
肝胆膵
《Special Lecture》
肝切除に必要な肝静脈の解剖
小暮 公孝
1
Kimitaka KOGURE
1
1群馬大学大学院総合外科学
pp.196-210
発行日 2018年10月22日
Published Date 2018/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212241
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
根治的肝切除を施行するには病変部の正確な位置と切除範囲を確定する必要がある.そのために,術前に切除すべき門脈枝,肝動脈枝,胆管枝の同定とともに切除する肝静脈枝,温存させる肝静脈枝,再建する肝静脈枝(inconstant)を確認しておくことが重要である.たとえば,肝上部下大静脈寄りに病変が存在する場合,必要最小限の切除を行ったとしても,その際に,近接する肝静脈を損傷してしまったときには,その肝静脈により還流されている遠位側の肝実質はうっ血により少なからず機能不全に陥り,小範囲切除のつもりであったものが結果的に広範囲切除をしてしまったのと同じことになってしまう可能性が考えられるからである1,2).また,生体肝移植ではグラフトを提供したドナーの安全と移植グラフトの良好な再生と生着を確保するために温存すべき肝静脈,再建すべき肝静脈の確定は重要な戦術の1つである3,4).
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.