FOCUS
潜在性腹膜転移膵癌治療におけるconversion surgeryの役割
里井 壯平
1
,
柳本 泰明
1
,
山本 智久
1
,
廣岡 智
1
,
山木 壮
1
,
小塚 雅也
1
,
良田 大典
1
,
井上 健太郎
1
,
道浦 拓
1
,
松井 陽一
1
,
權 雅憲
1
Sohei SATOI
1
1関西医科大学外科学講座
pp.206-210
発行日 2016年2月20日
Published Date 2016/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211084
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はじめに
膵癌の罹患者数ならびに死亡者数は,年間ほぼ同数であり(およそ33,000人),増加の一途をたどっている1).膵癌患者全体の5年生存率は5%以下であり,致死率の高い癌腫である.膵癌診断時には,その70%が切除不能であり,生存期間中央値は6〜12か月に過ぎない2〜4).しかしながら,最近の化学療法の進歩により,切除不能膵癌において一定数の治療奏効患者が認められ,外科的切除後に長期生存が期待されることが報告されてきた5〜10).
切除不能膵癌の中でも,極めて予後不良かつ多彩な癌随伴症状の出現する腹膜転移(腹膜播種,腹腔洗浄細胞診や腹水細胞診陽性)は有効な治療法がないため,新規治療法としてS-1+パクリタキセル(PTX)経静脈・腹腔内投与(iv/ip)併用療法を導入してきた11,12).
今回われわれは,他臓器遠隔転移のない初回治療予定の潜在性腹膜転移患者に対して,新規治療法における腫瘍縮小後外科切除(conversion surgery)の役割を探索的に検証したので報告する.
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