増刊号 消化器・一般外科手術のPearls&Tips—ワンランク上の手術を達成する技と知恵
②食道胃接合部
経裂孔的食道胃接合部癌根治術
黒川 幸典
1
,
瀧口 修司
1
,
森 正樹
1
,
土岐 祐一郎
1
Yukinori KUROKAWA
1
1大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学
pp.47-52
発行日 2015年10月22日
Published Date 2015/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210930
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バリエーションと留意点
食道胃接合部癌のリンパ節転移頻度は高く,縦隔側と腹側の両方向のリンパ流が存在しているため,縦隔リンパ節と腹腔内リンパ節の双方を郭清しなくてはならない.腹腔内リンパ節を郭清するためには胃全摘もしくは噴門側胃切除が通常行われるが,これらの術式の詳細については他稿をご覧いただきたい.縦隔リンパ節を郭清するために用いられるアプローチ法としては,右開胸アプローチ,左開胸アプローチ,経裂孔アプローチの3種類あるが,本邦で実施されたランダム化比較試験によって左開胸アプローチの意義は否定されたため1,2),現在では右開胸アプローチと経裂孔アプローチの2種類が通常用いられる.右開胸アプローチは通常の食道癌に対する根治術と同様であるため,本稿では経裂孔アプローチでの術式について解説する.
経裂孔的な下部食道切除を行う際に想定されるバリエーションと留意点としては,特に以下の3点が挙げられる.
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