ひとやすみ・128
死と向き合う
中川 国利
1
1宮城県赤十字血液センター
pp.1107
発行日 2015年9月20日
Published Date 2015/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210871
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- 文献概要
生を受けし者は年年歳歳老い,そして必ず死を迎える.したがって誰もが死を必然のこととして甘受し,悩みながらも自ら乗り越えて行かなければならない運命にある.しかしながら現代の日本では,病は必ず治癒するもので,死が究極の老化であることを認めない傾向にある.医療を行う医師でさえ,死を医療の敗北と捉えがちである.
日常で死と向き合い考えることは至難の業で,死を明るく語ることができない.親が「こんな死に方をしたい」「自分の葬儀はこのようにして欲しい」と話すと,「縁起でもない話は止めてください」「死はまだまだ先のことですから」と,子供は話題にすることを避けがちである.一方,子供が「死が迫ったとき,延命処置を望みますか」「遺産相続はどのようにしますか」など,親の死について語ると,「おまえは親の死ぬのを待っているのか.親不孝者!」と決め付けられ,話が進まない.
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