図解!成人ヘルニア手術・3 忘れてはならない腹壁解剖と手技のポイント
クーゲル法
上村 佳央
1
Yoshio UEMURA
1
1公立学校共済組合近畿中央病院外科
pp.1000-1009
発行日 2015年8月20日
Published Date 2015/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210847
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■ 一般外科医がヘルニア手術に対するときの心構え
近年,消化器外科の手術手技は標準化され,各施設でそれほど大きな手技の差は認められなくなっている.一方,鼠径ヘルニアの手術手技に関しては様々な種類があり,標準化される方向にはない.その理由として,鼠径ヘルニア手術には職人芸的な要素が残っていて,ヘルニアが脱出しているヘルニア門を閉鎖するという点では方針は決まっているが,そのアプローチ,使用するメッシュの種類,麻酔法などに各術者の「こだわり」があるためと考えられる.
しかしながら,どの手技を選択するにしても治療の大原則は,①確実な治療で再発を防止すること,②術後合併症,特に慢性疼痛の発生を防止すること,である.その対策として大切なことは,①に対してはヘルニア門の正確な確認とその閉鎖であり,それによって見逃しを含む再発の防止にもつながると考える.次に②に対しては,慢性疼痛を引き起こす原因となる神経の確実な温存にある.これらのことを実践するには,やはり鼠径部の解剖を繰り返し確認して理解することが重要と考える.
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