一般外科医のための形成外科手技・10
筋肉弁と筋皮弁の基礎的知識
梁井 皎
1
Akira YANAI
1
1順天堂大学形成外科
pp.1667-1675
発行日 1989年10月20日
Published Date 1989/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210542
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はじめに
一般外科医には筋肉弁(muscle flap)あるいは筋皮弁(musculocutaneous flap,またはm-c flapと略)という言葉はなじみが少ないかもしれない.「弁」という言葉はflapおよびvalveの二つの意味を持っているが,形成外科における「弁」は,ほとんどすべてflapの意味で用いられている.また通常は「皮弁」(skinflap)という形で「弁」が用いられることが多い.一般外科においてflapという意味で「弁」が用いられるのは「皮弁」という言葉以外には「弁状に切れている創,弁状創」などの場合である.
「皮弁」を「弁状になった皮膚,皮下組織,脂肪組織」と考えると筋肉弁および筋皮弁の理解がしやすい.すなわち皮弁と筋肉弁あるいは皮弁と筋皮弁とを比較すると,皮弁は,その構成成分が皮膚,皮下組織および脂肪であるのに対して,筋皮弁では,その構成成分が筋肉であること,また一方,筋皮弁では構成成分は皮膚,皮下組織,脂肪,筋肉ということになる.なお筋肉弁は筋弁という名称で,また,筋皮弁は筋肉皮弁という名称でも用いられている.
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