特集 外科臨床における病態別栄養
EDITORIAL
武藤 輝一
1
Terukazu MUTO
1
1新潟大学医学部第1外科
pp.589-590
発行日 1989年5月20日
Published Date 1989/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210348
- 有料閲覧
- 文献概要
第二次世界大戦後,敗戦国であった日本では国民の栄養は著しく低下し,このような状態の中で手術を行うためには,まず栄養状態の改善をはかることが必須であった.これまで経腸的あるいは非経腸的栄養補給の研究と臨床が外科領域で最も積極的に行われた理由はこの辺にある.まず経口栄養に近い経管栄養法が,やがてカゼイン水解物から結晶アミノ酸混合物を中心とした末梢経静脈栄養へ,さらにDudrickらによる経中心静脈高カロリー輸液が開発された.また高カロリー輸液の開発に前後して低残渣栄養剤や成分栄養剤による高カロリー経腸栄養が可能となった.
このように栄養法に著しい改善と進歩がみられる一方で,昔は考えられなかったような大きな手術も可能となり,その手術を容易とするためには術前の種々の病態に応じた栄養補給が必要であり,また術後における臓器欠損の種類,程度や術後の病態の変化に応じての栄養補給が必要となって来た.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.