特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
肛門部・その他
嵌頓ヘルニアの手術
堀 隆
1
,
横森 欣司
1
Takashi HORI
1
,
Kinji YOKOMORI
1
1日赤医療センター小児外科
pp.984-986
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210097
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嵌頓ヘルニアは2歳未満の乳児期に多く,鼠径ヘルニアの危険な合併症として恐れられて来た.しかし最近では保健指導が普及して嵌頓しても早期に受診し,用手整復可能なものがほとんどである.また乳児期早期の手術が予防的に日常のこととして行われるため,今日では緊急手術は稀になってしまった.
嵌頓手術の目的は次の通りである.①嵌頓臓器の血行障害の程度を直視下に観察する.②絞扼を解除した後そのまま腹腔内に還納するか,切除するかを決定する.③安全な状態で嵌頓臓器を還納した後,ヘルニア根治手術を行う.したがって一旦手術と決定した後は,安全に還納できることを直視下に確認するまで臓器を腹腔内に戻す操作を行うことは理屈に合わないことである.しかし注意していたのに自然に還納されたときは,通常はたいした絞扼でなかったと思ってよい.大きく開腹してまで確認しなくてよいと考えている.
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