特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
肛門部・その他
痔核の結紮切除手術—半閉鎖術式
荒川 廣太郎
1
Kotaro ARAKAWA
1
1荒川クリニック
pp.968-969
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210091
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肛門の手術は,病変部を切り取るのみでなく,機能的・形態的に健常な肛門に作り直す再建手術でもある.
痔核の手術においても,この原則に近づくよう切除部位や範囲,再建方法を予め脳裏に描き忠実に実施することが大切である.痔核を形成する病的な痔静脈叢は十分に切除し,時に切離面に隣接する残存静脈叢もundermineに掘り出し切除する.根部の血管結紮や粘膜縁の止血は慎重に行い,術後の大出血を予防する.支持組織の過伸展や上皮の弛緩がみられても,軽率に切除することなく,術後の肛門機能を考え,縫縮したり,あるいは元の位置へ再固定したりする(半閉鎖術式).
しかし一方,上皮や維持組織を温存するあまり,過剰な組織が残存することは,かえって治癒を妨げるものであるので,良好なドレナージを形成するように,適切なトリミングを行うことも必要である.
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