特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
膵臓
膵頭十二指腸切除後のBillroth I法に準ずる再建法—今永式再建術
森本 剛史
1
Takeshi MORIMOTO
1
1愛知がんセンター消化器外科
pp.928-930
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210076
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膵頭十二指腸切除後のBillroth I法に準ずる再建法として,1958年に今永式再建術式が考案された.本法は,空置腸管を造らず,全ての腸管を本来の機能である食物の移送,消化吸収等に従事させるという術式であり,端々胃空腸吻合につづいて肛側へ,端側膵空腸吻合,端側総肝管空腸吻合が結腸前にて行われる.我々は,現在までに53例にこの手術を行い,最長23年の生存例を含めて,10年以上の生存例が7例である.これらの長期生存例の経過は良好で,残存膵機能はやや低下してはいるが,インスリンを必要としているのは,1例である.術死は1例1.9%(膵空腸の吻合部の縫合不全,膵断端が術中照射野に入っていた)であり,他に膵液瘻が3例あるが,いずれも術後152,82,33日にて瘻孔閉鎖し治癒している.本術式のコツは,確実な膵空腸吻合と,膵液ドレナージにある.
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