特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
肝臓
尾状葉切除
高山 忠利
1
,
幕内 雅敏
1
Tadatoshi TAKAYAMA
1
,
Masatoshi MAKUUCHI
1
1国立がんセンター病院外科
pp.848-850
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210050
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尾状葉原発肝細胞癌の発生頻度は低く,また同部の脈管支配の特異性のため早期に肝内転移や門脈・下大静脈腫瘍栓を合併することが多く,切除対象となる症例はさらに稀である.実際,1987年12月までの当センターにおける肝細胞癌切除358例中の切除可能症例は左尾状葉に発生した2症例のみであった.左尾状葉の門脈は2次分枝であり根治性の面からは左葉切除が望ましい,しかし肝硬変合併例では耐術の面からこれを適応できる症例はむしろ少ない.ここに根治性と安全性の両者を配慮した左尾状葉単独切除の必要が生じてくる.なお,このうち1例は他院での手術施行例ではあるが左尾状葉単発の最大径約5cmの腫瘍で,全胸骨正中切開に心嚢切開を加えた切開創による良好な視野のもとでより安全に切除が施行された.
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