特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
胃・十二指腸
十二指腸潰瘍手術断端処理困難時の対処
愛甲 孝
1
,
帆北 修一
1
,
島津 久明
1
Takashi AIKO
1
,
Shuichi HOKITA
1
,
Hisaaki SHIMAZU
1
1鹿児島大学医学部第1外科
pp.788-790
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210030
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十二指腸潰瘍は,薬物療法が進歩したにもかかわらず,あるいは進歩したがゆえに再発を頻回に繰り返す傾向が強く,穿孔や通過障害などの合併症を来してから手術対象となる頻度が近年高くなっている.そのために十二指腸潰瘍の胃切除後の十二指腸断端閉鎖は時として非常に困難な場合がある.通常のBillroth-II法のごとく縫合閉鎖ができない場合の対処法としては,1)周囲組織ことに膵組織や潰瘍痕などを利用して補強を加え縫合閉鎖を強行する,2)補強をしても不安が残る時や,縫合閉鎖も吻合も困難な場合には,catheter duodenostomyを行う,3)十二指腸断端の縫合閉鎖を強行せず残胃と十二指腸を吻合し減圧をはかる,4)癒着のために十二指腸起始部の遊離が不可能な場合や,遊離切断可能と思われても潰瘍が残り瘢痕収縮のため術後の通過障害が懸念される場合には空置的胃切除を行う,などの手技を症例に応じて著者らは選択している.
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