特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
胃・十二指腸
選迷切兼幽門洞切除術—胃内容停滞防止を目的とした工夫
白鳥 常男
1
,
村田 省吾
1
,
金泉 年郁
1
Tsuneo SHIRATORI
1
,
Shogo MURATA
1
,
Toshifumi KANAIZUMI
1
1奈良県立医科大学第1外科
pp.784-785
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210028
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選択的胃迷走神経切離術(以下選迷切と略す)兼幽門洞切除術は,広範囲胃切除術より胃の切除範囲が少ない点や,減酸効果が良く再発率が低いなどの点から,十二指腸潰瘍や胃・十二指腸併存潰瘍に広く施行されているが,運動機能の面よりみると,迷走神経切離に起因する残胃のatonyと蠕動運動の減弱により,術後早期に胃内容の停滞が起こり易い.
従来の方法を施行した症例の術後1ヵ月目の残胃の形態と運動機能をX線透視にて観察すると,蠕動運動は著しく減弱しており,残胃は拡張し,胃体部大彎は吻合口よりも下垂し,造影剤が胃内に貯留して十二指腸への排出遅延を認めるのが常である.
そこで,選迷切兼幽門洞切除術における胃内容停滞防止には,残胃の胃体部大彎が吻合口よりも下垂しないための処置が必要となる.
われわれは胃・十二指腸の吻合方法と,残胃の後壁固定の方法に,それぞれ工夫を加え,胃内容の停滞防止を計っている(白鳥ら:日本平滑筋誌22:503,1986).
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