特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
食道
結腸による食道再建
武藤 輝一
1
Terukazu MUTO
1
1新潟大学医学部第1外科
pp.727-729
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210008
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
胸部食道癌根治手術時の食道再建には胃管を使用すると操作も早い.食道再建に結腸を用いると手術操作の時間は少し長くなるが,胃の貯留機能は良く維持されるため,遠隔時の術後障害や愁訴の発生頻度が胃管による食道再建例よりも低い.従って①高齢でない胸部食道癌切除例で,進行度が低く,十分に根治性が得られる場合に適応がある.結腸は咽頭部まで楽に挙上できる.すなわち②頸部食道癌切除時にも頸部まで有茎で楽に挙上できるので,胃管より安心して用いることができる.小腸を食道再建に用いる時,ある程度の小腸切除が必要であるが,結腸ではその必要はない.すなわち③既に胃切除をうけていて胃管による食道再建が不可能の時に第一選択となる.
著者らの施設では73例の結腸による食道再建例があり,結腸の種々の部分を順蠕動や逆蠕動に挙上した経験があるが,現在は左結腸動脈を栄養血管とし横行結腸を中心に挙上する方法が楽で安全であると考えている.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.