特集 [施設別]悪性腫瘍治療方針のプロトコール
大腸癌治療のプロトコール—新潟大学医学部第1外科
畠山 勝義
1
,
武藤 輝一
1
Katsuyoshi HATAKEYAMA
1
,
Terukazu MUTO
1
1新潟大学医学部第1外科
pp.795-801
発行日 1987年5月30日
Published Date 1987/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209713
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はじめに
近年,本邦における大腸癌症例や大腸癌による死亡率は次第に増加しつつあるが,その原因の一つとして食生活の欧米化,すなわち,動物性脂肪の摂取量の増加が考えられている.その結果総胆汁酸の増加,嫌気性菌の増加を来し,遊離型1次胆汁酸や2次胆汁酸の増加が大腸粘膜における発癌過程にcarcinogenicに作用すると考えられている.しかし発癌因子はその他にも多種考えられてはいるが,大腸癌の発生頻度は今後も増加することが十分予想されている.一方,大腸癌の治療の主流は依然として外科的切除にあり,その術後成績の向上のため各種集学的治療が試みられているがcontrolled ran-domized studyでは悲観的成績しか得られていない1).また手術自体は癌の根治を目指すが,しかし根治を損なわないならばできるだけ機能温存をも目指す必要があるし,大腸癌の肝転移や直腸癌の局所再発など問題が多く残されているのが現状である.このような観点を踏まえた上での著者らの現時点での大腸癌治療のプロトコールを紹介したい.
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